特色
私たちの学校は、1972年(昭和47年)に既設の幼稚園の上に、我が国最初のオープンプランスクールとして誕生しました。オープンプランとは、「子どもにあった教育をしよう」という教育運動の中で生まれた教育方法です。私たちは、このオープンプランの理念に基づき、子どもの発達段階に合った「具体操作」活動を行うことで、子ども一人ひとりの個性を尊重した、子ども中心の授業を行っています。
そして、「壁のない教室」の中で、一人ひとりが大切に扱われ、一人の人として、良さを認められた子どもは、のびのびと個性的に自分の意見を持ち、自ら問題を解決していく力を身につけます。また、他人の良さを素直に認め、共に成長していく柔らかさが身につきます。
「一人ひとりが主人公」という個性と才能を尊重した教育、子どもの側に立った、自由でのびのびとした教育が、本校オープンプランの特色です。
「子どもを、自転車に乗れるようにしたいな。」と思ったら、どうするか考えてみて下さい。
乗り方をどんなに上手に何十回、何百回と説明しても、聞いただけでは、いつまでたっても
乗れるようになりませんね。
では、どうしたら良いでしょう?
子どもが自分から進んでどんどん練習して、「早く乗れるようになりたいな。」という気持ちにさせることです。そうすると、「コツはなんだろう。」と自分で考えたり、教えてもらったりしながら実際に何回も練習を繰り返して、はじめて乗れるようになります。しかも面白いもので、ある時、突然乗れるようになるのです。そして、一度乗ることができるともう大丈夫。どんどん上達していきます。
勉強も同じだと私たちは考えています。「これは、こうだよ。」と教えても、子どもはわかるようにはなりません。
それでは、どのようにして分かるようになるのでしょうか。
自転車の時と同じように・・・
- まず、子どもが「分かりたい!」「できるようになりたい!」という目的意識をもつような仕掛けを作ります。
- 次に、子どもの成長や発達段階にあった活動(自転車でいうと、補助輪をつけて練習する・自転車の後ろを支える)を準備します。
- すると、その活動に夢中になって取り組んでいるうちに、「わかった!」「できた!」と子ども自らが理解し、会得していくようになります。(自転車でいうと、ある日突然乗れるようになる)
- そして、自らがつかんだ概念や自分なりのコツを使って、「もっとやってみたい!」「もっと上手になりたい!」と、自ら取り組むようになるのです。
こんな経験をいっぱいしていくと、
- 「学び方を学ぶ」子供になります。
- 「勉強が楽しい!」「学ぶことが大好き!」という子供になります。
- 自信をもって、自ら進んで取り組む子供になります。
これが、本校で行われている「具体操作」活動の考え方です。
ここで、キーになるのは、「子どもたちにあった活動の研究」です。
私たち教師はそれをどのように用意しているかというと、
- 「子ども」から学びます。
- 子どもの興味、関心のあるものは何か?
- 子どもにはどう見えているのか? 学年での違いは? 男女の違いは?
- 何がわかりやすいのか?どのようにわかっていくのか?
- 教師みんなで、アイデアを出し合います。
- 子どもから学んだものを基にして、各授業の単元計画案を考えます。
- 単元のねらいを達成するために、どのような活動が適切かを考えます。
- これを1年生から6年生の全ての教師で検討していきます。
- 教師が実践して良かった活動は、「宝物」として引き継いでいきます。
- 教師全員で授業の実践報告会を行います。
- その中で、良かった点を共有し、さらに良くするためのアイデアを出し合います。
- 上手く行かなかった点を修正しあい、明日からの授業や活動にかします。
だから、私たち教師が追い求めている「具体操作」活動に答えはありません。
なぜなら、子どもは日々成長しているからです。若手の教師も、ベテランの教師も、その時の「子ども」から学び、悩みながら、より良いものを日々追い求めているのです。
オープンプランの算数は、1~4年生では週6時間、5・6年生では週5時間を、クラス担任が指導します。ここで行われている「具体操作」活動は、開校当初から本校教師が追究してきた、オープンプランの根幹をなす活動です。
オープンプランの算数的な「具体操作」活動には、
- 概念をつかむための具体操作
- 概念を使いこなすための具体操作
- 算数的・幾何学的な美しさを追究する具体操作
- 算数的な法則・きまりを見つけ出す具体操作
- 長さや体積などの量感を豊かにする具体操作
- 生活の中で探す、生活場面に生かす具体操作
- 算数的な表現力を高める具体操作
- 算数ゲームなど算数の楽しさを味わう具体操作
などがあります。
もちろん、計算力を高める計算練習も平行して行っていきます。自分の意見を、根拠を提示しながら説明する話し合い活動も行われます。
子どもたちが自分でつかみとった概念と、「できた!わかった!面白い!」という経験は、一生の宝となります。そんな場面がオープンプランの算数の授業で見られます。
オープンプランコースの国語は、各教科の土台となる教科です。1・2年生では週8時間、3・4年生は週7時間、5・6年生では週6時間を、クラス担任が指導します。正しい日本語の使い手として、漢字や文法事項などの言語事項の習得はもちろんのこと、「読む、書く、話す、聞く」の基礎・基本のを習得を目指していきます。それは授業だけなく、朝の会や帰りの会、係活動など、生活全般の中でも指導が行われるのがオープンプランコースの特徴です。
また、発展的な学習として、絵本や新聞、パンフレットなど、具体的な「物」をたくさん作ります。さらに、音読劇や紙芝居、劇などの「表現活動」をたっぷりと行います。その中で、子どもたちは、自分が表現したい内容や言葉を辞書で調べます。そして、さらに付け加えたい内容を辞典や本で調べるようになります。
図書室(学習センタ-B)の利用に加え、子どもたちがすぐに本を手に取ることができるような辞書、辞典、学習内容に関する絵本や読み物が、オープンスペースの教室にたくさん置かれていることが、オープンプランコースの国語の特徴の一つでもあります。
3年生から始まる理科は、オープンプランコースでは、担任が指導し、週3時間の授業が行われます。自分たちで実際に実験や観察を行い、仮説が正しいかどうか、検証を重ねていきます。また、その結果をノートなどにまとめ、発表する経験を積んでいきます。
子どもたちは、授業だけでなく、休み時間などでも、オープンスペースや学級園の植物や野菜の栽培・観察を楽しんでいます。また、開校当時に校舎の周りに植えられた季節の果樹や樹木の観察、池に集まる生き物の観察を通して、自然・生命を尊重する心を学びます。
天体観測では、授業で学んだことを八ヶ岳合宿や月光天文台見学を通して、実際に自分たちの目で確かめてきます。また、「流れる水の働き」の単元では、「川の水の流れ」について、自分たちで調べ学習と実験を行った後、理科の校外学習として、狩野川の源流や中流域、放水路、河口等の現地調査を行います。
オープンプランコースの社会は、3・4年生で週2時間、5・6年生で週3時間を、クラス担任が指導します。
3年生は、学校の周辺の探索から始まり、沼津市の商店街やスーパーマーケットなど、自分たちの生活になじみの深い場所を見学して調べます。
4年生は、1学期に清掃プラントや上水道の施設など、自分たちの生活に欠かせインフラ施設を調べて見学します。2学期には県庁や県警、地震防災センターを見学し、自分たちの生活と安全がどのように守られているのかを学びます。そして、静岡県の美しい自然と豊富な資源を自分たちの目で確かめます。
5年生では、静岡県の農業や漁業、工業、通信施設を訪れ、静岡県の特色を生かした産業について学び、日本の産業全体を考察していきます。
6年生では歴史領域として、登呂遺跡や柏谷横大穴群、鎌倉市を見学に行きます。
公民領域として、国会見学や裁判所見学を通して、自分たちの社会を自分たちの手でより良い社会に創り上げていく基盤を学びます。そして、6年間の社会の集大成として、京都・奈良の2泊3日の修学旅行に行きます。3月の卒業間際であっても、事前に徹底して調べる活動を行います。
オープンプランの社会では、盛りだくさんの校外学習と調べ学習が表裏一体となり、「とことん調べる力」を養います。そして、自分の目で確かめた知識を「生きた知識」に変えていく活動を行っています。
生活科(ブルドッグタイム)
オープンプランコースの1・2年の生活科は「ブルドッグタイム」と呼ばれます。週3時間でクラス担任が指導します。ここでは、スクールエンブレムである「ブルドッグ」のように、「一度つかんだら(噛み付いたら)離さない」、主体的で粘り強い子どもを育てることを目指しています。また、オープン・プラン6年間の土台となる授業でもあり、3年生から始まる理科・社会につながる知的好奇心を育てる時間でもあります。
1学期は、1年生では朝顔、2年生ではミニトマトを育て観察していきます。また校外学習の前には、調べ学習を行い、現地で自分の目で確かめます。校外学習の後には、記録作文や写真を使って、わかったことをまとめ、1年間の生活科の記録ファイル・アルバムにしていきます。また、身近な自然や季節の行事・イベントに関連した活動も行います。そして、3学期のオープンハウスでは、調べてわかったことを個人研究発表として保護者の前で発表します。
オープンプランの5・6年生では、週1時間の家庭科が行われます。自分たちの生活を見つめ直し、より楽しく、より良いものとして改善していく力をつけるために、衣食住に関わる様々な調べ学習と実習が行われます。特に、オープンスペースを生かした教室での調理実習は、子どもたちが夢中になって取り組む大人気の活動です。また、低学年が校外学習や学級園で収穫した農作物を一緒に調理したり、ハロウィンパーティーやクリスマスパーティーなど、季節のイベントを企画して、実習を行います。
オープン・プランコースの体育は、クラス担任が指導します。体育は子どもたちが大好きな教科の1つです。本校では、主に初等グランドとルーフガーデン、雨天時はAセンターで活動します。子どもたちの運動量を最大限確保するために、体つくり運動、器械運動、走・投の運動に加え、ゲームや表現運動を、組み合わせながら取り組んでいます。また、5月は運動会練習を行い、6月から7月には、外部のスイミングスクールで水泳教室(3~6年生)を行います。10月からスポーツテストにむけた練習を始め、記録会を行います。12月から1月にかけては、縄跳びを中心に授業を行います。2月のオープンハウスでは、リズム縄跳びや表現運動としてのダンスを発表するクラスもあります。また、保健の授業の一貫として、薬物等の専門の講師の方や保健教師と連携し、心身の健康を保つための講座を行っています。
音楽科
オープンプランコースでは、声楽・ピアノを専門とした音楽専科教師3名が、週2時間の音楽を指導します。歌うことを通して、音楽の楽しさや美しさを体感するとともに、1・2年生からカスタネットやトライアングル等の楽器、3年生からリコーダー、4年生からは篠笛を習得していきます。12月の芸術祭では、学習の成果として、各クラスや合同学年で、合唱や演奏を披露します。
春陽会・日本美術家連盟に所属し、美術教育を専門とする教師、文化庁新進芸術家海外研修員(パリに派遣)の経験がある教師が、図工専科教室において、オープンプランコースの週2時間の図工を指導します。児童は、絵画、版画、工作などの作品作りを通して、美術・デザインの基礎・基本を学ぶとともに、絵を描く楽しさ、自らの自由な発想で作品を創り出す楽しさを味わいます。
また、年間を通して、学校の展示廊下に学学年の児童の作品が飾られ、児童が教室を移動する際に、多くの作品にふれあい、鑑賞できる環境を整えています。
12月には、音楽科と合同で、芸術祭を開催し、児童1人ひとりの作品が、学校中に展示され、学校が美術館のようになります。
早期英語教育研究室
早期英語教育研究室(早英研)
早期英語教育研究室は、1967年(昭和42年)の幼稚園創立時に設立されました。
そして、1972年(昭和47年)の初等学校創立時から、オープンプランコースで早期英語教育を行っています。現在は、日本人教師4人とネイティブの英語教師3人で運営されています。
オープンプランコースでは、英語の授業(45分)として、全ての学年で週3回、日本人教師とネイティブの英語教師のティームティーチングの授業が行われています。
【指導方針】
- 聞く力(Listening)の素地を作る
- 話す力(Speaking)をつける
- 異文化への理解を深める
- 英語の楽しさを体験する
【主な活動の柱】
- Songs&Rhymes
- Stories
- Exchange Program
- Speeches
- Content Based Teaching
早期英語教育研究室
JES(Junior English School)
オープンプランコースの才能教室として、週3時間の英語の授業の他に、希望者を対象とした放課後の英語教室(週1回)を行っています。ここでは、通常の授業とは異なるカリキュラムのもと、別テキストを使用して、授業が行われます。
オープンプランコースでは、5年生の希望者を対象に、9月に約2週間のカナダ・オンタリオ州での海外研修を行っています。参加児童は、キャンプ生活やホームステイをしながら、カナダの小学校生活、家庭生活を体験します。
(1) 目的
- 英語を学習する意欲を持つこと
- 国外で友人を作ること
- カナダの家庭で過ごす経験をすること
- カナダの小学校で過ごす経験をすること
(2) 研修場所
(3) 研修内容
- 事前学習
- キャンプ
- ホームステイ(児童はひとりで1家庭にホームステイ)
- 現地小学校での授業への参加
- 英語での日本文化紹介
- 帰国後 研修報告としてパネル作成・展示